雪原をかんじきで歩こう!

2006年2月25日、まだ雪のたっぷり残る苫小牧で、カブスカウトたちの「かんじきを作ろう!」集会が始まりました。今回の材料は、隊長が自分の山から集めてきてくれた山ブドウのツル。床いっぱいに広げられたツルを見て、スカウトたちは「これが本当にかんじきになるの?」と半信半疑の様子です。それでも作業が始まると、好奇心いっぱいの表情でツルを手に取り、にぎやかな工作タイムがスタートしました。

まずはツルの皮むきから。長くて硬いツルはカブスカウトにはなかなか手ごわい相手で、両手でしっかり握っても、思うように皮がむけません。ツルの端を押さえる役と、皮をむく役に自然と分かれて協力したり、「こっちの方がやりやすいよ」とコツを教え合ったりする姿があちこちで見られます。ときどき「うわ、すべった!」と笑い声が上がりながらも、少しずつ白い地肌が見えてくると、「おお、むけた!」と小さな歓声が広がりました。

次はツルをかんじきの大きさに合わせて切る工程です。自分の足に合う輪っかの大きさをロープで作り、それを基準に長さを決めていきます。「これくらいかな?」「もうちょっと大きくないと入らないよ!」と、足をロープの輪に出し入れしながら、真剣にサイズを確かめます。のこぎりで山ブドウのツルを切る作業も一苦労で、木が固くてなかなか前に進みません。体重をかけてギコギコと切る姿は、まるで小さな職人たちの工房のようです。

しかし、本当に大変なのはここからでした。ツルを輪っか状に曲げる作業です。太いツル、細いツル、節のあるツルが入り混じり、思うように形になってくれません。水に浸けてみたり、ガスコンロの火であたためて柔らかくしたりと工夫を重ねますが、「あっ、また戻っちゃった!」「割れそうでこわい!」と悲鳴と笑いがまじった声が飛び交います。一人ではどうにもならず、二人組や三人組でツルを押さえたり引っ張ったりしながら、力を合わせて丸い形を作ろうと奮闘しました。

リーダーたちも要所要所で登場し、「ここをこう持つと曲げやすいよ」「この節はここで使おう」とアドバイスをしながら、少しだけ力を貸してくれます。ぐっと力を込めて曲げるときには、まわりのスカウトも息を止めて見守り、うまく輪になった瞬間には「やった!」と拍手が起こる場面もありました。できあがった輪を見つめるスカウトの顔には、達成感とちょっとした誇らしさがにじんでいます。

次に待っていたのは、ロープ結びの試練です。せっかく曲げたツルをしっかり固定するためには、結び方も工夫が必要です。「これでほどけないかな?」「さっき習った結び方、どうだったっけ?」と首をかしげながら、何度もやり直しをしつつ、手元に集中していきます。ロープが指に食い込んでも、真剣な表情は崩れません。ときおりリーダーが「いいね、その結び方なら大丈夫」と声をかけると、スカウトの顔にほっとした笑みが浮かびます。

形が見えてくると、今度は「どうやって自分の長靴を固定しよう?」という新たな課題が生まれます。長靴をかんじきの上に乗せてみて、どこにロープを通すか、どう結べば歩きやすいかを、それぞれが試行錯誤します。「ここを通したら脱げないかな?」「こっちをきつくしたら安定しそう」と、友だち同士で意見を出し合いながら、ベストな方法を探っていきます。その姿は、まさに自分専用の雪の道具を設計する小さな技術者たちのようでした。

苦戦しながらも手と頭をフル回転させて作業を続けた結果、和かんじき風の丸い形のものや、洋かんじきのように縦長の形のものなど、個性豊かなかんじきが次々と完成していきました。どれも世界に一つだけのオリジナルかんじきです。できあがったかんじきを手に持って並ぶスカウトたちの姿は、少し誇らしげで、とても頼もしく見えました。「早く雪の原っぱで試してみたい!」という声があがり、次の雪中散策への期待が一気に高まっていきます。

この日の集会は、ただの工作ではなく、仲間と協力しながら工夫することの楽しさ、失敗してもあきらめずに挑戦することの大切さを、自然と学べる時間となりました。のちの集会で、このかんじきを履いて雪の野原を歩き回る日を心待ちにしながら、スカウトたちは自分の手で生み出した道具を大切そうに抱えて家路につきました。自分で作ったかんじきで雪の上を歩くとき、きっとこの日の苦労と笑い声が、あたたかくよみがえることでしょう。